絶好調の某社CTOとお話してきました
2/13の金曜ですが、今モバイル業界で最も好調と思われる某社*1のCTOにお会いする機会がありました。いろいろ充実した会話をさせていただきましたが、エンジニアの端くれとして特に印象深い話があったので備忘のためメモ。
ちゃんとやれば成功するんだ、という発言
この日CTO氏は初対面だったんですが、同席したA氏はその昔同僚で、その会社に転職した人です。(僕はまだ彼がいた会社で働いている)
その人づてで会うことになったので、この発言が出たのですが、これがなかなか重かった。
うちの会社は上場自体は果たしたものの、その後の展開*2を振り返ると、少なくともエンジニアという立場からみると「ちゃんとしてた」とは到底言えない。具体的には、上場時のビジネスの状況も実力相応十分な生産性を確保してのこととはとてもいえず、有効な資産や武器も積みあがった状況では到底なく、かといってトレンドな開発方法論からもはるかに立ち遅れていた状況でした。つまり、「ちゃんと」やっていたとは恥ずかしくてとても言えない。
あくまでエンジニアの観点でもそうなのだから、広義のビジネスという側面でも推して知るべしです。
「ちゃんとやる」というのは簡単そうで結構できている組織は少ないと思う。言葉にすると極めて月並みですが、「積み上げ」ないとだめですね。
エンジニアの発言に一定の価値を認めること
この話は本当に目を覚まさせられました。
僕がこれまでいた環境は、以前は受託環境を主としており、現在もメディア事業への進出はしているものの広告営業が売上の大半を占めています。そのせいなのか、これまでの会社の方針ではエンジニアからの発言があっても数字に直結することが少ないことから軽視したり、単なる原価としてのコストとしかみなさなかったりすることがほとんどでした。まして、CTOなどという役職は見たことがなく、実は個人的にもCTOという役回り自身についてもピンと来ていませんでした。
したがって自分のキャリアとしては何とか「直接ビジネスを創れるエンジニア」を目指して何とか発言権を得られるポジションを目指していましたし、周囲もそうでなければ価値がないという雰囲気でした。
そういう価値観の中でいた身からは、この言葉は衝撃を受けた。つまり、エンジニアが現場で肌で感じた、有効な方向性や、おかしいと思ったことなどをある程度無条件で耳を傾けられる*3という前提が浸透しているなんて。
実はつい最近、現在の僕がかかわる事業では事業方針とエンジニアの意思が漸く両輪として周り始めています。その環境にいる身からすると、このような方針というのはある一定の合理性があるのではないかと実感しています。
採用基準は絶対下げてはいけない。
以前受託開発をしていたころは、アルバイトでも業務委託(派遣)でものべつ幕なしに人を採用していました。それこそ、PHPが書ければOKくらいの勢いで。もはや経営レベルで 人数増加→売上比例増加 としか考えていないんじゃないか?と感じていた時期がありましたが、しかしその結果は惨憺たるものでした。基盤となるアーキテクチャーはフレームワークとは呼べない水準のものしか出来上がらず、その上で展開するはずの受託開発も極めて低い生産性に陥っていました。
しかし何といっても痛感したのは、考え方や方針が違う人間を束ねると、チームとしてうまく回らないということ。これは小規模なベンチャーほど話にならないくらい痛い。
特に退職率の高さといったら、驚くべきものでした・・ある年などは20人前後入社して、同程度の古いメンバーが抜けていったこともありました。
その会社では、ほとんど人が辞めたことがないらしい。とても気を遣っているんですよ、とおっしゃっていたがまあ大概のことは昔僕らもやっていました・・でも結局退職率の高低というのはそことつながっていたが故と今になっては思います。
特殊な環境化でしかできないことがいろいろできることがある
現在、サーバーは総数で2,000台ものサーバーが存在するらしいです。ここまでくると、Googleで実施されている分散処理技術とかも実際試せる訳で、実際やろうと思ってできるのは、あとは学術機関くらいなもの。それは職場として非常に魅力的なところだと思いました。
ただ思ったのは、こういう発想につながるのも突然環境だけ与えられて出てくるものではなくて、結局は「積み上げて」いくからこういう考えが出て来るんだと思います。逆にこういう貴重な経験を得られたエンジニアほど、どんどん価値が上がっていき、差が開いていくんだろうなあ。
ちょっと長くなってしまいました。あと思ったのは、この人はオープンソースコミュニティでもそこそこならしているはずの人と思って構えて行ったんですが、非常にフレンドリーな方でした。それよりもむしろ、外の人に会う機会がまだまだ少ないと思っていたりするくらいのようで、逆にこの機会があったことに感謝されて恐縮してしまいました。つい最近も「人との出会いは新しい人生の可能性(話題リストつき) - 備忘録」なエントリがありましたが、どんどん外部の人とコミュニケーションしていく必要を痛感した機会でした。